優先席をめぐるトラブル〜譲り合って気持ちよく利用しましょう〜

優先席を巡るトラブル

優先席は立ち続けることが辛い人が優先的に座れるように、公共交通機関が独自に定めたマナーです。

強制力のあるルールではなく、人々の善意やモラルに頼るところが多い曖昧なマナーなため、トラブルに発展します。

優先席付近でのトラブルで逮捕者も

優先席のトラブルで逮捕者も出ています。

ことの発端は「スマートフォン」です。

優先席付近でスマホを使用していた女性に注意した男性が、電車のドアが閉まらないようにしたことで威力業務妨害の疑いで逮捕されました。

この男性は以前から優先席に座る若者とトラブルを発生させ、駅や車内の非常停止装置を押したり、電車の運行を妨げる行為を繰り返していました。

また、元気そうに見える若者が優先席に座っていたことでも傷害事件が発生しています。

男性を「優先席に座っていて腹がたった」という理由だけで、腹部を果物ナイフで刺し、怪我を負わせました。

小さなトラブルのエピソードも日常茶飯事です。

マタニティーマークをつけた、お腹の大きな女性が優先席の前に立っていても、寝たふりやスマホに集中ふりをして誰も席を譲らない。

体の不自由な人が座席に座れず床に座り込んでいるのを見た。

優先席トラブルに関わるエピソードはSNSやtwitterに頻繁にUPされています。

優先席はルールではなくマナー

優先席にはルールが記載されていません。

利用者のモラルや善意に頼ったシステムです。

優先席のマナーは簡単です。

優先席付近で混雑時にはスマホや携帯電話は使わない。

高齢者や体の不自由な人、妊婦や小さな子供づれの方が優先的に座れるように積極的に譲る、です。

簡単なマナーのようですが、これによってトラブルが頻発しています。

トラブルの内容の多くが「優先席に座るべき人に譲らない」「優先席を譲るように強要する」「優先席付近での携帯電話およびスマホの使用」に関することです。

優先席付近での携帯電話やスマホは禁止?

優先席付近では混雑時にはスマートフォンや携帯電話は電源OFFが、鉄道会社がアナウンスするマナーです。

スマホ等の電波がペースメーカーに誤作動を起こさせるという情報は、20年以上前のモノです。

現在総務省からもスマホや携帯電話の電波はペースメーカーや除細動器には影響する可能性は低いとの見解が出されています。

しかし、周知するには足りていないため、優先席付近でのスマホや携帯電話の使用は白い目で見られます。

禁止されていないのに白い目で見られたり、注意されるのは理不尽に思い、腹が立ちます。
しかし、誰かが不快に思っているなら、不要なトラブルを防ぐためやめるのが最適な行動ではありませんか?

マナーとはみんなが心地よく過ごすための礼儀作法です。

スマホがやりたければ、優先席から離れればいいだけです。

もちろん車内での通話は優先席付近以外でも眉をひそめられます。

スマホや携帯電話を使用する際には音を消した上で利用することを心がけましょう。

トラブルに発展しやすい席の強要

最もトラブルに発展しやすいのが、優先席を譲ることを強要する行為です。

主に高齢者に多いトラブルです。

高齢者に多いのには理由があります。

優先席は元々はシルバーシートと呼ばれ、お年寄りを優先的に座らせるように敬老の日から実施されたシステムでした。

このことを盾にとり「若者は席を譲れ」と吠える高齢者が増えています。

今日、高齢者よりも若者や中年の方がくたびれています。

遊びに行く、または、遊んだ帰りの高齢者。

これから仕事に向かう、もしくは、くたびれ果てて帰路についている若者や中年。

席を譲る必要があるのは、優先されるのはどちらか、と言う世論があります。

また、席を譲ることを高圧的に命令する高齢者もいます。

頭ごなしに言われて譲る人はいるでしょうか。

ケンカ口調にはケンカ腰で対応するのが人間です。

優先席は人の善意に頼ったシステムです。

善意を受けたいならそれなりの対応があります。

善意の強要ほど見苦しいものがありません。

外側からはうかがえない事情もある

また、マタニティマークをつけているのに席を譲ってくれないことに腹をたて、優先席に座る人たちを盗撮する、と言ういやらしい仕返しをする人もいます。

盗撮は犯罪です。

外側から見えない疾患を持っている人もいます。

譲りたくても譲れない事情がある人もいます。

優先席は「積極的に席を譲ってください」と公共交通機関がお願いしているマナーです。

強制力はありません。

自分が妊婦だからとマタニティマークひけらかし、席を譲ることを強要したり盗撮してSNSに載せるのは間違った方法です。

正義感もトラブルの元

健康体でただ「座っていたい」と言う理由から優先席に腰をおろし、優先席が必要な人が乗車しても知らん顔で席を譲らない人もいます。

見ていて、気持ちのいいものではありません。

しかし、第三者が口を出して席を譲ることを強要しても、トラブルに発展するだけです。

自分勝手な正義感を振りかざし、優先席に座っていた人をナイフで刺すと言う事件も起きてきます。

席に座らせたいのなら、自分が率先して譲るだけで良いのです。

相手に向ける善意を他人に求めることは難しいです。

また、第三者が口を出すことでトラブルに発展しやすくなります。

優先席はルールではなくマナー

優先席は公共交通機関が定めたルールではなくマナーです。

誰にも強要することはできないし、されることもありません。

人が多いところでは思いやりや配慮も必要ですが、自分の価値観を他人に求め、押し付けるのは間違っています。

他人の価値観や解釈は覆すことはできません。

できるのは自分自身に優先席のマナーを守らせることだけです。

みんなが譲らないから私も譲らない、ではなく、自分だけでも優先席に座るべき人に席を譲ろうという意識を大切にしましょう。