若者は席を譲ってくれない?優先席のマナー

優先席は譲るべきもの?

優先席とは、鉄道やバスなどに設置された座席です。

高齢者や体の不自由な人、けがや体調不良の人、妊婦、乳幼児連れの方が席へ優先的に座れるように確保された座席です。

優先席付近には、その席が上記の人が優先的に座れるよう配慮を求めた注意書きがされてます。

元々は「シルバーシート」

優先席は1973年に国鉄が「シルバーシート」として高齢者を対象にしてはじめました。

現在のように体の不自由な人や体調不良者、妊婦まで対象を広げられたのは1990年代後半からで、この頃から「シルバーシート」から「優先席」に名称が変わりました。

若者が席を譲らない?

若者だけが譲らないわけではありません
優先席は「若者は座ってはいけない席」ではありません。

誰でも座れますが、立つことが辛い人が優先して座れるように配慮を促す席です。

しかし、若者は優先席に座っても席を譲らない、モラルが無いとの声が聞かれます。

若者が席を譲らないのにも理由があります。

お年寄りに席を譲って、「年寄り扱いするな」「まだまだそんな年齢ではない」と拒否されると次からは譲るという行為自体が気恥ずかしくなります。

集団心理も理由の一つに挙げられます。

みんなが座っているのに自分だけ席を譲るのもおかしいと考えていることもあります。

また、老人に高圧的に席を譲ることを命令され、腹が立ってゆずらない、ということもあります。

席を譲らないのは若者だけではありません。

具合の悪そうな人や明らかに立っているのが辛そうな人がきても中高年も優先席に座って譲りません。

優先席に座ってはいけないわけでは無い

優先席に座ることがマナー違反ではなく、優先的に座った方が良い人が来たのに無視を決め込むことがマナー違反です。

断られることが気恥ずかしくて優先席を譲れないなら、初めから座らない方が得策です。

そうすれば周りの冷たい白い目に攻め立てられ、スマホに集中するふりなんてしなくていいからです。

譲らないからと責め立てる行為こそマナー違反

席を譲らないからといって責め立てるのも違います。

外見ではわからないハンディを持つ人もいます。

妊娠初期なら外側からはわかりません。

外からはわからなくても、貧血や疲労で立っていることが辛い人もいます。

優先席は、立っていることが体の負担になる方が優先して座る席です。

高齢者が「優先席ルール」を振りかざして、席を譲ることを強要する席ではありません。
高齢者が「そこは年寄りが座る席だ」と踏ん反り返ることこそマナー違反です。

譲ってもらえないからといってネチネチと文句をいうことはマナー違反ですし、暴力を振るったりするのはマナーを通り越して犯罪です。

優先席は法律で決まっている制度ではありません。

あくまで人の道徳心、モラルに委ねる形で運用されているルールです。

道徳心やモラルはきっちりと型にはまったものでは無いので、個人によって考え方が変わります。

人によって許せる許容範囲と解釈が違うために、自分のルールに法って強く出てしまったり、逆に遠慮してしまったり、他の人の振る舞いを見てモヤモヤしたりします。

マナー違反の多くは「他の人もやっている」から「私もやろう」という考え方です。

他の人がやっているからマナー違反をしても構わない、みんなやってるから罪の意識も感じません。

外から見えない「しんどさ」を抱えている人もいる

例えばつわり真っ最中の妊婦さんなどが当てはまります。

つわりが始まるのは妊娠2ヶ月頃からですが、この頃外見からは妊娠していることはわかりません。

外側からはわかりにくい内部障害者の方もいます。

優先席に座っている若い人だから「悪」では無いのです。

もうお腹の大きな妊婦なのに優先席を譲ってもらえなかった、という愚痴のトピックスや高齢者の、若いのに優先席に座っている、という愚痴は見当違いです。

優先席は義務ではなく、乗客の善意に頼り、立っていることが辛い人に席を譲ってくださいとお願いする座席です。

優先席に座れなかったからと愚痴を言うくらいなら、必ず座れる方法で電車やバスに乗るか、タクシーを利用するなどの方法を考えた方がよほど健全です。

SNSやTwitterで愚痴を呟いたとしても、賛同する人は少ないと考えた方が良さそうです。

若者は譲ってくれる人の方が多い

大抵の若者は「優先席はお年寄りや体の不自由な人、妊婦さんが優先的に座るべき席」と言うことを理解しています。

一般座席に座っていたとして、優先的に座った方が良いと感じる人がくると、スマートに席を譲ってくれる人が多いです。

譲りたい気持ちがあっても、気恥ずかしくてできなかったり、自分自身が疲れていた時には譲ることが難しいけれどタイミングさえよければ席を譲ってくれます。

今の若い世代は、小さな頃から親にそのように言い聞かせられたり、席を譲ることはマナーであり常識であると教えられています。

若い人は優先席が空いていても座らないと言う人が大半を占めます。

他の乗客の邪魔になるときは座るが、それ以外は優先的に座りたい人が来るかもしれないから座らないという気遣いです。

優先席のマナーは若い人の方がしっかりとしています。

逆に高齢者の方や妊婦の方が年嵩であることや妊娠していることを理由に居丈高に席を譲るべきと主張することの方がよっぽどマナー違反です。

そんなことをされれば席を譲りたくなくなるのは当たり前のことだと気がつかないのでしょうか。

乗客の良心に委ねられた優先席

優先席は乗客の善意に頼ったルールです。

だからこそ、健康である人は席を譲って欲しいです。

皆が周りの人に少しずつ配慮すればもっと柔らかな日常になります。

バスや電車は公共の交通インフラです。

毎日乗るものだから、できるだけ気持ちよく利用しましょう。